たった一試合、君と私の甲子園
「血が出てるみたいやけど、
傷は深くなさそうやな。」


そう言うと彼は、
ズボンのポケットから財布を出し、
何かを探し出した。



「おっ、あったあった。」


彼が財布から取り出したものは絆創膏。



「ちょっと古いけど大丈夫や。」


古い?


「一応これ貼っとくけど、
後でちゃんと消毒しときや?」


そう言って彼は、
私の膝に絆創膏を張ってくれた。



「これでよし!!」


そう言うと彼は、
私の膝をトントンっと軽く叩いた。





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