たった一試合、君と私の甲子園
「紗奈、なんだか余裕だね?」


「余裕?」


「うん、私なんかに取られないと思ってる?
私、奪っちゃうかもよ?」


私は覗き込むように紗奈を見た。


「それは私には止められないよ。」


「えっ!?」


「どんなに私が宏大を想っていても、
誰かの気持ちなんて止められない。
私はただ、宏大を信じるだけ。」


「不安じゃないの?」


「不安だよ、ものすごく不安、
でも誰かが宏大を想う気持ちは止められないもん。
どんな人が宏大にそばにいるんだろ?
どんな人が宏大に声をかけてるんだろう?
そう思うとすごく不安、
でも私は宏大を信じてる。
だから離れてても我慢できる、
逢えなくても我慢できる。」


紗奈・・・あなた・・・


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