たった一試合、君と私の甲子園
体育館を後にした美優は部室へと向かった。


外に出ると夕日に照らされ目を細める。


この景色ももう見れないのか・・・


私は部室の前に立った。



「ちょっと美優、それ私の!!」

「ええやん、ちょっと貸してや!!」

「あかん!! それ高いねんから!!」

「そうなん? どんな匂いするん?」

シュッ!!

「ああっ!! 何振っとんよ!!」

「わぁ、めっちゃ良い匂い!」


友美の香水を勝手振って怒られたっけ・・・
友美とのやり取りを思い出す。


ここへも・・・
みんなと過ごしたこの部室へも、
もう来ないんだね・・・

あんなに一生懸命練習した日々も
もう終りなんだね・・・


そう思うと涙がこみ上げて来た。


< 147 / 222 >

この作品をシェア

pagetop