たった一試合、君と私の甲子園
「どうしたの・・・?」


「いや、試合を観にな。」


「試合?」


ああ、そうか紗奈の試合か・・・


「紗奈の試合観に来たの?」


「ああ。」


「そう・・・」


緊張した不安な心に、
追い打ちをかけるような言葉・・・


そうだよね・・・

紗奈の試合だよね・・・


美優は悲しい気持ちを
隠すかのようにフッと笑った。



「おまえ、すごい汗やぞ?」


「えっ!?」


美優は言われて初めて気付いたかのように
額の汗を拭った。


「ちょっと待てよ・・・」


宏大はかばんの中をゴソゴソと
何かを探しだした。


< 79 / 222 >

この作品をシェア

pagetop