たった一試合、君と私の甲子園
「あった!! ほれ使え。」


宏大はリストバンド取りだすと、
笑顔で私に差し出した。


「えっ!? これ・・・?」


「大丈夫、ちゃんと洗ってる。」


宏大はそう言ってニコッと笑った。


私はリストバンドを受け取り顔の汗を拭う。



宏大の匂い・・・


リストバンドからは宏大の匂いがした。


宏大・・・


口元の汗を拭うフリをして、
二度三度と匂いを吸い込んだ。
その瞬間、なんだかホッとして
体の硬さがほぐれて行く・・・


宏大・・・


「どうした?」


「えっ!?」


宏大に呼びかけられ、ハッと我に返る。


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