たった一試合、君と私の甲子園
紗奈・・・


紗奈はじっとこっちを見ている。


届かない・・・

やっぱりあなたには届かない・・・


美優はまたズキンと胸が痛み
泣きそうになる。



すると紗奈は拳を前に突出した。


「・・・・?」


そして何か言った・・・


『待ってるから・・・』


「!?」


紗奈はそう言うとニコッと微笑んだ。


聞こえないけど、紗奈の言ったことは
なんとなくわかった。



「紗奈・・・」


私は我慢していた涙がドッと溢れた。


紗奈・・・

こんな惨めな私にそんなこと言ってくれるの?

あなたは私を待っていてくれるの?


こんな私を・・・


美優は胸がカァーッと熱くなった。


< 89 / 222 >

この作品をシェア

pagetop