回廊館の殺人
午後７時

「すっごい、おいしい。」

食卓に並べられた食事を食べながら宮下が歓声をあげる。

「ありがとうございます。
そんなに美味しそうに食べていただけると腕によりををかけた甲斐があります。」

島村が笑顔で力こぶ作る仕草をする。

「そういえば、『書人』はいつから行動をおこし始めるんですか？」

食事の手を止め、康之が佐久間に尋ねる。

「あー、それはもう始まってるよ。
特にいつから始めって合図がある訳じゃないからね。
油断してると襲われちゃうかもね。」

佐久間はしれっと返事をしてきた。

「えーっ！！
じゃあ、この食事に毒とか盛られてるかもしれないってことですか！？」

宮下がビックリして声をあげる。

「うーん、それはどうだろう。
食べた人が毒って気付けないかもしれないから、ないんじゃないかな。それに…」

佐久間が困った顔で答え、さらに何か言おうと迷っていた。

「ってか、せっかく作ってくれた島村さんに失礼だろうが！」

佐久間の言いたいことをなんとなく察した康之が変わりに宮下に突っ込みをいれた。

「あぁーっ！？
すいません。すごく美味しいです！！」

そう言って目の前のシチューを掻き込んだ宮下だったが…

「あっつ～い！！」

その様子をみて居間に笑いが起きた。
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表紙・目次

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