回廊館の殺人
「だめだ、繋がらない。」

宅間が呻きながら荒々しく携帯を閉じて、乱暴に椅子に座る。

宅間と同じように自分の携帯電話をいじっていた佐久間も首を横に振りながら携帯を閉じて、口を開く。

「ちょっと、外で試してみるよ。もしかしたら繋がるかもしれない。」

「あ、俺も外で試してみます。」

奈良が携帯を片手に佐久間に付いていく。

「じゃあ、私達はとりあえず待ちましょうか。」

そう言って新田も近くの椅子に座る。
康之や宮下もそれにならい近くの椅子に腰掛けた。

「お茶をお入れしましたので、どうぞ。」

キッチンから紅茶の入ったティーポットを手に島村がやって来る。

皆がテーブルで無言で紅茶を飲みながら佐久間と奈良が戻るのを待つ。
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