回廊館の殺人
「つまり犯人が一周して現場に来るには15分以上必要ってことだね。
宮下さん、奈良くん達が部屋をでてから僕達が来るまでに何分くらいか覚えてるかな?」

佐久間が今度は宮下に話をふる。

「あ、はい。
えーと10分もたってなかったです。
早く奈良さん達が帰って来ないかなって思いながら腕時計を何度みていたんで間違いないです。」

宮下が焦りながらも自信を持って答える。

「つまり、アリバイがないのは俺と島村さんだけって言いたいのか?」

宅間が不機嫌そうに言葉を発する。

「いや、現状の整理をしてるだけだから気を悪くしないでくれ。
あとは、現場で何か気付いたことのある人はいるかな?」

そう言って佐久間が皆を見渡す。

「あっ、そう言えば現場の部屋の奥の扉に水溜まりが出来てました。
ちょうど扉のとこに氷を挟んでいてそれが溶けたみたいな感じです。」

康之が現場で見たものを思いだして言う。

「そう言われれば、先ほどキッチンで気付いたんですが1kgの氷のブロックが1つなくなってました。」

島村も手をポンとうちながら思い出したように言う。
< 38 / 49 >

この作品をシェア

pagetop