羊たちは愛を求め、さ迷う。
新学期
それは突然だった。
「俺の彼女になってくれない?」
全校生徒の憧れと尊敬を持つ、生徒会で会長を務める同学年(二年生)の男子生徒であることを
私は知っていたが、実際にこの目で目にするのは今日が初めてだ。
しかも、今私の目の前でその彼が自分の耳を疑いたくなるような言葉を口にした。
今、彼はなんて言ったのか?
確か――俺の彼女になってくれない?
とそう言ったように聞こえたけど冗談よね……。
多分何かの罰ゲームかなんかだ。
だって、こんな何も取り柄もない平凡な自分に全校生徒の憧れと尊敬でもある《黒月雪》くんが、だよ。
あり得ない、あり得ない。