SATAN
「ただいまー。」
腕時計を見ると7時を回っていた。
流石に今は夏だが7時になれば暗くなるのも当たり前か。
「お帰りー。遅かったわねぇ。」
遅くなった理由をしつこく聞かれたが曖昧に答えた。
それしかない。
あまり母に心配を掛けたくないから。
朝から考えごとしていて気付いたら放課後だった。なんて言ったらこの母なら猛烈に、しつこく心配してくるだろうことが目に見えるように浮かぶんだから。
それだけは避けたい。
私の答えに納得してないようで質問を繰り返す母から逃れるように、着替えてくると言い二階の自分の部屋へと急いだ。
…―
――― バタンッ
「ふぅ…。」
学校の時もそうだったが、室内にいたらあの"不思議な感覚"はしない。
だから外に出た時や朝のように窓を開けた時に感じるものなのだろうことは解ったが…。
結局、この感覚の正体は解らないままだ。