SATAN
正直、意味が分からなかった。
魔法って何?
ヤツって誰?
朝からのことで混乱している頭は今の会話を聞き、より混乱してしまった。
…まずはお母さん達に聞かなきゃ。
そう考え羽美は浴槽からでてお風呂場の戸を開けたら、直ぐさまタオルで身体を拭いた。
乱暴な手つきで髪を拭き外着に着替える。
お母さん達の会話で出てきた"あちらの世界"とは異世界のことなのだろうか。
覚束ない足を運びリビングへと向った。
―――ガチャッ
「お母さん、お父さん。」
「お…おぉ羽美、もう上がったのか。」
「あらあら、じゃあ…、わ、私も入ろうかしら。」
思ったより早く入浴を済ませた羽美に、何故か吃っている二人。
見るからに怪しい。
「教えて。魔法って何?ヤツって誰、あちらの世界って何なの。全部隠さず教えて。」
その言葉を聞いた二人は驚いた顔をした。
二人の目がには戸惑いの色も見えたが、そのうち覚悟を決めたような強い目に変わる。
「分かった。どうせは話さないといけない事だ。包み隠さず話すよ。」
「えぇ、ですが話すのは羽美が髪を乾かしてからにしましょう。ゆっくり落ち着いてした方が良いでしょうから。」
羽美は少し考えてから
「…分かった。」
そう言いドライヤーがある洗面台へと向かった。
その羽美の姿を見送った父は、そっと溜息を漏す。
「一体いつ…聞いていたんだか。」