SATAN
異世界へ
髪も綺麗に乾き羽美は二人の目の前の椅子に腰をかけた。
羽美の真剣な眼差しを見て父が口を開く。
「まず始めに、私達はこの世界の人間じゃない。」
「…え…。」
「お母さんとお父さんの故郷は、この世界では"異世界"または"別世界"と呼ばれる所だ。」
「羽美はこの世界で生まれたけど、住むべき場所は此処じゃないのよ。」
住むべき場所は此処じゃない。
すなわち、この世界じゃないと言うこと。
「異世界に行くには、異世界側の人間の強力な魔法で呼び寄せられない限り、ほぼ不可能。
だが例外もある。」
「異世界からじゃなくとも、この世界からでも行けるのよ。」
「しかしそれは、より強力な魔法が必要になるけどね。」