SATAN
私は父の言葉に戸惑いながらも受け入れていった。
この二人がこんなに焦ったところを見たのは初めてだったから。
私が協力しなければいけない気がしたのだ。
私達は立ち上がり真剣な面持ちで向かい合った。
「絶対にまた会えるから、その時はきっと羽美も全てを理解し、その境遇を強い気持ちで受け止めているだろう。
いつも通り元気な羽美でいてくれ。」
「羽美は強くて優しい子だから、きっと大丈夫。
どうか、自分を見失わず真っ直ぐにその世界を見てほしい。」
二人はそう言い終えると、目を閉じ両手を私の前に掲げた。
その手からは凄まじいほどの何かを感じる。
父と母の顔を見つめ私は、本当に自分はこの世界から消えると実感する。
「ありがとう」
そう呟き私も瞳を閉じた。
その時、部屋の中に物凄い風が吹き荒れ、それと同時に物凄い力を感じた。
父達から感じられるものと、また別でどこか恐怖を覚えるもの。
それは私でもSATANの力と瞬時に察しがつくものだった。