SATAN
"母達に送られると私の居場所が掴めなくなる。"
何故か昔から私を狙っているSATANは、きっとその為に私達に名を言ったら居場所が分かる魔法をかけたのだろう。
だったら名を言わなきゃ良いだけのこと。
SATANもそれを分かっているから母の魔法を阻止した。
母達が必死に私を守ってくれたなら、私も必死ににげよう。
決意を固め、母に小声で私の背中で魔法を続けるよう言った。
最初は私を盾にするのを躊躇った母だが、そのうち私の背中へと隠れ魔法を再開した。
母のそれに気付いたSATANが顔を歪める。
『また、余計なことを…!』
そうSATANが言った途端、青い光が私を包んだ。
それはSATANがやったのではなく、母がやったのだと光の暖かさで理解できる。
青い光が徐々に私の意識を朦朧としてゆく中、父が背中越しに告げた。
「生きなさい。羽美がいるべき世界で。」
そう言われた瞬間、私の体と意識は、この世界から消えた。
残された三人のうちSATANは私を追うため異世界に来ることは確実に分かること。
だが父と母の、その後はまだ分からない―――。