SATAN


…―
―――
――――



「―――…ん、…夜光さん。」



自分の名前を呼ばれて我に返る。

どうやら同じクラスの人が私を呼んだようだ。




「大丈夫?朝からずっと上の空だったけど……、もう放課後よ?」




「…え!?」





も、もう放課後?




参った…。
まさか放課後まで考え続けていたとは…。




私の集中力はどれだけ凄いんだ。



「ありがとう。じゃあ私、帰らなきゃ…。」



「うん。バイバイ。」





しかし…、昔から集中力が凄いと周りからよく言われてきたが、自分で思ったことはなかった。






だが今回ばかりは凄いと実感する。






もう、辺りは真っ暗だ。


いくら歩いて行ける距離といっても親は心配はするだろう。





それにしても私に声をかけてくれた人。確か前田さんといったか、何故学校にいたんだ?





先程の前田さんを思い返してみる。




そういえば手に何か持っていたな。忘れ物を取りにきたのか。



なるほど。





と、一人で納得し家へと急いだ。
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