Love Trip in Italy (番外編)
時計を見ると16時少し前。
………そろそろだな。
「杏花、そろそろ帰るぞ?」
「えっ!?要!!私、まだ肝心の夕日を見てないよ?」
「俺も見てない」
「ちょっと、からかうのはやめてよ」
「からかってないだろ?現にまだ陽は沈んでないし」
「えっ?じゃあ、見ないで帰るの!?」
「見ないとは言ってないだろ?」
「だって、さっき“帰る”って!!」
杏花は膨れっ面で言い返して来る。
まぁ、それだけ見たい想いが強いんだろうが。
「いいからついて来い」
「嫌ッ!!要が何と言おうが見るまでは帰らない」
杏花は頬を膨らませ座り込んだ。
行き交う人々が俺らを見ている。
「はぁ……だからな?……杏花」
「何よッ!!??」
「ココじゃなくて、絶好の場所で見せてやるから」
「えっ!?ホントッ!!!??」