Love Trip in Italy (番外編)
一瞬にして険しい顔で振り返る。
「じゃあ、ここから見るのね?」
またもや一瞬で顔色を変え、勝手に納得している。
ホント……百面相だな。
「いや、夕日はココでもない」
「えぇ~~っ!?じゃあ、どこで見るの!?」
「まぁ、そう荒立てんなって」
「そんなの無理よ!!夕日が見たくて恥ずかしい想いまでしておねだりしたのに…」
今度は何だ?……泣くのか?
ったく……俺の気も知らねぇで。
サプライズをそう簡単にベラベラ喋れるかってぇ
の!!
そうこうしているうちに、俺らの目の前に1台の車が止まった。
俯いていじけ始めた杏花も気付いたようだ。
「ほら、迎えが来たから行くぞ?」
「えっ!?行くってどこに!?夕日は!?」
杏花が俺の上着の裾を引っ張っていると、
車からドライバーの男が降りて来た。
俺は予約した者だと話して挨拶した。
ドライバーの男は笑顔で車内へと促している。