Love Trip in Italy (番外編)
俺は杏花の手を取り、車へ乗り込んだ。
渋々乗り込んだ杏花。
ふて腐れ顔で俺に背を向けて座った。
ドライバーの男は俺らに気を遣って、
運転席との間仕切りカーテンを閉めた。
俺らの微妙な空気を他所に車は軽快に走り出した。
俺らが乗り込んだ車は専用シャトルバス。
通常は1週間以上前に要予約なのだが、
昨夜、留学当時の友人・アルベルトに頼み込んで
1台チャーターして貰ったってワケ。
そんな俺の苦労も知らず……杏花は、
仏頂面で目を瞑って寝たふり。
ドライバーから合図が。フフッ…
さぁ、最高の笑顔を拝ませて貰うとするか!?
「杏花」
「……」
「杏花?」
「何?」
杏花は目を瞑ったまま返事をした。
「杏花!!」
「何ッ!?」
杏花はキレ気味で起き上がった。