Love Trip in Italy (番外編)
杏花は返事はするものの、視線は窓の外。
「じゃあ、行こう!私のダ・ヴィンチが待ってる~」
「おいっ!!………はぁ」
って、聞いてねぇし……。
それに何だ?『私のダ・ヴィンチ』って!
いつからダ・ビンチの女になったんだ!?
俺は苛立ちながらも杏花に腕を引っ張られ、
フィレンツェの街へ連れ出された。
「おい、杏花。もっとゆっくり歩いても、ダ・ビンチは逃げねぇぞ?」
「……………」
俺の声が届いてねぇ!!
杏花は興奮スイッチがONになりっぱなしで、
仕様はGO!GO!モード……。
あっという間に繋いだ手は離れ、杏花の姿はどこへやら。
あっ、いた!! またあんな遠くに。
ミラノ同様、観光客が溢れ返っていた。
しかも建造物やパンフレットに夢中で、
フラフラ歩き、俺の行く手を阻む。
早く……早く…杏花の元へ…。
俺は視線を杏花にロックオンし、小走りに杏花の元へ。