なんでも屋 神…最終幕
水面の細波が煌びやかに光る様子と似ている事で、今日もそれなりに気温が高くなる事を覚悟する。



お袋とイトさんが一葉へ挨拶を返したのを聞いて、彫りガラスが眩しい玄関のドアへ手をかけた。



ドサッという音で振り返ると、一葉が肩に掛けていたバッグが廊下に落ち、中身がそここに散乱している。



「どうした一葉?お袋がスッピンだったか?」



千里の件で程良く陽に焼けた一葉の横顔が、その色を忘れてしまったかのように失って見え、リビングの中を見つめたまま呆然としている。



「聞こえてるよ馬鹿息子!」
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