なんでも屋 神…最終幕
神堂龍造が全身から醸し出す、威圧感丸出しの雰囲気は未だ無いにしても、兄ぃの度量は引けを取るものでは無い。



今が絶好のタイミングだと三龍が見ているならば、残念ながら[黒龍]は返り討ちに合うだろう。



「神君は私の言った事をお忘れのようですね。私は平和主義者ですよ、自己防衛の為には戦いますがね。」



あくまで自分は草食動物だと言い張る目の前の獣は、冷たい炎を宿した瞳で俺を捕らえて離さない。



珍しく自らが出向いたという言葉は、真夏日が続いていたにも関わらず、透き通るような肌の白さから裏が取れた。



決して本心は曝さず、薄気味悪い偽りの笑みで自らを包み隠す三龍。



獣を言い換えるなら、海の奥深くに潜む深海魚のように見える。
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