なんでも屋 神…最終幕
「…これは私の予想ですが、もう直ぐこの街に血が流れるでしょう。ですが私は神君の味方です。今日はそれを伝えられただけで引き上げるとしましょう。」



三龍が、その鋭く尖った顎をしゃくった先に視線を移すと、家の中に寄らない俺を心配して、一葉が玄関から顔を出していた。



一葉が家から出て来ない内に車から降りると、三龍を乗せたデビルは、その幅の広い車体を揺らしながら走り出して行く。



…この街に血が流れる。



三龍の言葉が気になって仕方無いが、俺に見当が付くはずも無く、その場に立ち尽くしたまま、雨に身体を濡らすだけだった。



こんな天気は、裏社会にまで暗雲を齎す(もたらす)のだろうか…。



三龍の言葉を信じるなら、今年の夏は未だ長くなりそうな気がする。
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