なんでも屋 神…最終幕
先日お袋が購入した、純白の新型ベンツCクラスに傷を付けないよう、静かにマジェスティを道路へと出す。



俺がマイアミへ飛び立つ際に持ち出した三百万も、返済金は残り僅かとなっている。



そんな時にこのベンツを買ったという事は、俺が返済している金の流れを容易に想像出来る証拠となった。



元々お袋の金だったのだから、何に使おうと勝手なのだが、この白すぎるボディに少しだけ傷を付けたい衝動に駆られるのは、実の息子より一葉の方が好待遇だからだろう。



逆パターンじゃなかっただけマシだと思い、今日もその衝動を押さえ込んで、マジェスティのアクセルを開く。



日盛りを迎える前の時間帯は、道路の端々に出来ている水溜まりから生まれた、肌にベト付くような生温い風が漂っている。
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