なんでも屋 神…最終幕
この空間で、頭髪をアッシュグレイに染め、穴の開いたデニムを履いている俺の存在は、老人達の瞳には異様な光景に映るだろう。



宇佐見義一と思われる男性の顔を見て、俺が感じた見覚えは確信へと変わった。



山羊のような髭を蓄えてはいないが、面長な顔の輪郭に有るパーツは、[トレイン]のマスターにそっくりだ。



「では、私は用事が出来たのでこれにて失礼しますが、皆さんは会話を続けていて下さい。」



老人達に向けた物腰の柔らかさは、俺の知っている無口なマスターとはまるで正反対で、幾分此方の方が若いようにも見える。



「初めまして。宇佐見義一と申します。此処ではなんですので、外に出てお話しをしましょうか。」
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