なんでも屋 神…最終幕
「本来なら此方から伺わなくてはならなかったのですが、小関君に任せてしまって申し訳ない。」



信頼をし始めていても、目の前にいる人物はマスターではない。



その点さえクリア出来れば、依頼を受けようと決めていた。



「俺は行政に携わる人間を信用してません。本当にこの場所を守るという公約を守るんですか?」



物事をはっきり言う人間相手には、同じくはっきりと物事を伝えた方が良い。



「若い人達の本音を聞いた気分だね。この土地は私の父が所有者でね、昔は入居者なんて余っていたんだが、父には先見の明が有ったんだと、今になってそう思うよ。私にとってこの場所は、父が残した掛け替えのない物なのだよ。」



宇佐見さんはそう言って、お昼寝の時間から目覚めたばかりの、元気な子供達の様子を、染み入るように目を細めて見つめていた。
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