なんでも屋 神…最終幕
俺の鼻が間違っていなかったと告げるように、不快な臭いが風に乗って届いたが、気にせず宇佐見さんと小関さんの後を付いていく。



裏手はちょっとした林のように、十数本の木々が植わっていて、耳を澄ませば小鳥のさえずりが聞こえる。



エントランスや正面の外壁には清潔感が見て取れたが、裏の林に面した外壁には、多彩な色使いでペンキがぶちまけられていた。



「窓ぐらいは綺麗に出来たのですが、壁は何とも出来ずにそのままの有様です。嫌がらせは全て深夜の内に起こっているのですが、少ない給与で働いてくれている職員に、夜間も見張りをしてくれなどとは言えません。」



本人や小関さんは昼間の選挙活動で忙しいから、夜間も見張りをするのは無理がある。



そこで俺に白羽の矢がたった訳か…。



「嫌がらせは、一夜につき一件程度ですか?」
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