なんでも屋 神…最終幕
最終幕第六章
俺が帰国し、なんでも屋立ち上げ当初に、兄ぃからベレッタを買って以来、何時しか兄ぃを呼び出した際にはこのバーを利用していた。



止まり木に腰掛け、琥珀色に染まる液体を喉へ流し込んでは、柔い間接照明で黄色く染まるタバコの煙を吐き出す。



あの後、俺の質問に答えられなかったノリは、赤城に意見を求めたが、結局答えの出ぬまま兄ぃへ電話した。



別件を片付けてから来るという兄ぃを待つ為、[赤とんぼ]からこのバーへ移動して、微かに流れるブルースをつまみにグラスを傾けていた。



とろけるような琥珀色の液体は、カットされた氷に冷やされていたが、その冷たさは、飲み下せば内から焼けるような熱を持っている。



液体の熱は、心の最奥から湧き出る怒りと同調し、静かにだが確実に俺の体温を上げていくのだった。
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