なんでも屋 神…最終幕
俺が食べ終わる時間まで分かっていたのか、イトさんは見計らったようにキッチンへ戻ってきて、洗い物を始めた。



最後に湯飲みをイトさんの背後から出すと、ゆっくりと笑いながら顔だけ振り返った。



「ご馳走様。」



満足そうに頷いたイトさんは、目尻を垂らし、最初からその場所に有ったような皺を刻んだ。



「お粗末様でした。いってらっしゃいまし坊ちゃん。」



イトさんはまた洗い物を始めたので、俺はいってきますと呟いてリビングを出た。



イトさんが期待していた何かを、見落としたまま…。
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