なんでも屋 神…最終幕
てっきり神堂の横に座るものだと思っていた沙夜さんは、俺にアイスコーヒーと神堂に水割りを作って出て行ってしまった。



「偶然という言葉で片付ければ、全ては偶然になるんでしょうね。黒沢一樹と決別した翌日に神堂さんが俺の前に現れたのも、タイミングが良すぎる偶然でしょう。」



水割りを口に含んだ神堂は、片方の口角を僅かに吊り上げ、満足そうに水割りを飲み下した。



俺と黒沢一樹の仲を、もう一度取り持とうという魂胆だろうが、俺にその気は全く無い。



「その話しも確かに有る。神よ、これが最後だ。[神堂組]に入らんか。」



普段なら間を置かず断るのだが、見開かれた神堂の眼孔を前にして、俺は口を開けずにいた。
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