なんでも屋 神…最終幕
俺の方も、長い目で見ればもう少し人数は増えるだろうが、例えるなら遙か遠くを見つめるようなもの。



どす黒く得体の知れない何かが漂い、底の見えない崖を見下ろす黒沢一樹とは、比較の仕様もない。



そのトップに君臨する人間が、俺という一人の人間に牙を剥く…。



これでは、誰もが諦めろと言うのも無理はない話しだ。



黒沢一樹の背なに彫られた、灼熱を背負った阿修羅像と、何千年もの時間を氷河の中で過ごしたような、熱を持たないあの冷たい瞳。



改めて敵に回した人間の大きさを知り、背中から全身が冷えていくような感覚に陥って、思わず身構えた。



「…神崎鷹臣との約束とは、なんなんですか?」
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