なんでも屋 神…最終幕
こうしている今でさえ、黒沢一樹の号令がかかっていれば、百人単位の人間が俺の命を狙ってきても不思議じゃない。



実際その立場に居て、そんな号令を幾つもかけてきた神堂の言葉には、そう思わせるだけのリアリティが有った。



そして、初めて聞いた父親の名前。



俺の身体の中を流れる半分の血に、神崎鷹臣と名前を彫られたような気分だ。



時折自分でもコントロール出来なくなる、真っ黒い血の存在を裏付ける証拠だと思った。



鮮やかな夕日の橙色が肌に染み込んでいくようで、ゆっくりと瞼を閉じて漆黒のスクリーンに落ちていく。



今の気分で、鮮やかな夕日を見る気分にはなれなかった。



橙から漆黒へ…渦巻く不安の色は黒。



それを必死で白に戻そうと抗う。
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