なんでも屋 神…最終幕
その言葉を最後にして、俺は歩いてきた道を戻ろうと、大さんに背を向けて歩き出した。



見守る仲間の手前、俺に土下座して伝えるタイミングを計っていた気持ちだけで十分。



「神君!今回は相手が悪い、力になれんくてすまなかった!」



張り上げた大さんの震える声は、いつの間にか上空をすっぽりと覆っていた夜空に吸い込まれていった。



背後から街灯の光によって映し出された影は、俺の身長の倍程も長く延びている。



その影を追うように歩いていると、心中に孤独感から来る隙間風が吹き付け、熱帯夜でも心は寒々しく感じた…。
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