なんでも屋 神…最終幕
ドアの付近に有る足跡…それが以前に有ったものかどうかは、定かではない。



だがこんな時ならば、微かな変化点にも過敏に反応を示してしまうのは、無理もない話しだ。



俺の考え過ぎなら、後で取り越し苦労だったと一人で笑えば良い。



この仕事をしている時の心構えは、念には念を。



中に誰かが潜んでいるならば、エレベーターの到着を知らせる音で、俺の存在はとうに気付かれている。



出来るだけ壁に背中を付けたまま、ゆっくりとドアの前へと摺り足で近付いていく。



このまま突然ドア越しに発砲されたら、死んでも死にきれない。



壁から成る可く離れないように身を屈め、右手を鍵穴に伸ばして慎重に鍵を回す。
< 278 / 447 >

この作品をシェア

pagetop