なんでも屋 神…最終幕
どうせ飛ばしの携帯だろう。



それも中を確かめる気にはなれず、デスクの上に転がした。



俺が椅子に座るのとほぼ同時に、転がされた先でベレッタにぶつかった携帯が、何度か回転した後に止まった。



背凭れに思い切り身体を預け、タバコの脂で黄色がかった天井を見つめたまま、ポケットから取り出したタバコをくわえる。



緊張に伴う疲労感は、僅かな時間も凄まじい。



重力に負けて、背凭れに凭れたまま床に倒れてしまいそうだ。



火を付けた穂先が立てる、じりじりと燃える音を聞きながら、肺奥まで吸い込んだ煙を天井に向けて吐き出した。



吐き出したのは煙だけではなく、安堵感も一緒に吐き出した。


[神堂組]は俺の言葉通り、俺個人に的を絞った…本当なら、一息吐いている状況じゃない…か。
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