なんでも屋 神…最終幕
吸い終えたタバコを、ベンチ脇の吸い殻入れに投げ捨てると、水に浸された中から火種の消えるジッという音がした。



気紛れに吹いてきた生温い風でも気持ち良く、重力に逆らえず瞼が下がっていく。



沈黙を気にしてか、一葉が何か他愛もない話しをし出したが、俺の鼓膜には届かなかった。



昨夜の睡眠不足が祟ったのか、頭を支えているのも辛く感じ、一葉の華奢な肩へ凭れていく。



徐々に呼吸が規則正しくなり、一葉の長い髪から放たれるトリートメントの香りに包まれ、瞼は完全に閉じた。



途切れ途切れだった意識…そこから先の記憶は無い。
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