なんでも屋 神…最終幕
「…神君。」



思惟を巡らせていた俺は、静かに開くドアの軋む音と共に聞こえた、一葉の心配そうな声に振り返った。



消え行く夕日の色は、一葉の輪郭までは届いてくれなかったが、声だけで何を考えているのか分かる。



「依頼を断ったって聞いたのか?」



薄暗い中で僅かに届いた外の光が、一葉の形の良い大きな瞳に溜まった、友達を失う悲しみの水滴を照らす。



裏とも表とも言い難いヒロからの依頼…何が善で何が悪なのか、そんなものは個人の意志や考え方で簡単に変わってしまう。
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