なんでも屋 神…最終幕
勿論、一葉の泣き声は辺りに響いていたが、空気が止まってしまったかのように感じた。



再び空気が動き出したと感じたのは、その一瞬後…奏の親父さんが扉を開けて出てきた時だった。



沈痛を伝える面持ち。



落とした肩が何を言わんとしているのか…それが分からない訳ではない。



ただ、信じられなかった。



信じようとしなかった。



だって、信じられるはずがないじゃないか…。



「…親父さん、イトさんは、大丈夫だったんだよね?なぁ!何とか言ってくれよ!」



荒げた俺の声で、背後のベンチに座っていた一葉の顔が上がった事を悟った。
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