なんでも屋 神…最終幕
お袋の動きは早かった。



奏の親父さんとは以前から知り合いだったらしく、直接電話して頼み込んだとの事。



「それなのにこの馬鹿息子はあんな事して!後でちゃんと謝っておきなよ!」



抜け殻のようになった息子に、それ以上の文句は言わず、お袋は静かにドアを閉めて行ってしまった。



実際にお袋から伝えられた言葉は、左の鼓膜から右の鼓膜を通り過ぎ、暗鬱な気分そのままの外へと消えていった。



身寄りの居ないイトさんの通夜は、通夜の準備を手伝いに来てくれた、近所の奥様連中だけでしめやかに済んだ。



夜になって徐々に雨雲が西へ流れていき、薄墨色の夜空が姿を現してくる。



…一葉が俺の部屋を訪れたのは、そんな時だった。
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