なんでも屋 神…最終幕

「ご飯作ったんだけど、食べない？」



窓際に座り込んで半日以上が過ぎようとしていて、身体は張り付いたようにその場所から動こうとしない。



瞼を腫らし、丼を大事そうに抱えた一葉に、要らないと首を横に巡らして答える。



「昨日ね、イトさんにカツ丼の作り方を教わってたの。イトさんが下準備を終えた所で、後は私が作るつもりだったんだけど…此処に置いていくから、お腹が減ったら食べて。」



閉められたドアに視線を移し、手前に有るテーブルの端に置かれた丼を見つめ、引き寄せられるように身体が動いた。



特に腹が減っていたという訳ではないが、何となくイトさんの香りが漂ってきたように感じ、小さい一口を放り込んだ。