なんでも屋 神…最終幕
全てを黒く染めてしまうような外壁。



威圧感を放つコンクリート打ちっ放しのビルは、周りに建つ建物を牽制しているように見える。



曇り空の隙間から放つ陽光は、金色に輝く[神堂総業]の看板の光を鈍らせていた。



黙々とパソコンに向かっている若い衆の横を通り、六階へ続くエレベーターに乗り込む。



無音のエレベーター内で、到着を待つ間に瞳の端はつり上がり、燃え上がる憎悪の炎は身を焼き尽くしてしまいそうだった。



六階に着いた事を知らせるベルの音を聞き、腰に差したトカレフを右手に持ち、吐き出されるようにエレベーターから降りる。



防弾ガラスの自動ドアの前に立ち、ドアが完全に開ききるまで深呼吸して待った。
< 363 / 447 >

この作品をシェア

pagetop