なんでも屋 神…最終幕
神堂の口から吐かれる言葉を一文字でも逃すまいと、今は燃え盛る憎悪の念を押し隠し、思考を凍てつかせていく。



「ただのチンピラじゃった儂に懐いていたのは、お前の父である鷹臣。あの頃は、未だ二人でヤクザの真似事をしていた。」



右手に握るトカレフの引き金を、思わず引いてしまいそうな程、身体に不必要な力が籠もっていくのが分かる。



「それから数年が経ち、儂と鷹臣は今の[神堂組]を二人で立ち上げた。全てが順調に運んでいき、いつの間にか[神堂組]はそこそこの規模を誇るようになっていたんじゃ。」



初めて聞かされる[神堂組]の出生話しに、黒沢一樹の喉仏が上下した。



「その頃になるとそれなりに金も持ち、儂と鷹臣も一端の顔役気取りで呑み歩くようになっての、威勢の良い女が居ると聞きつけてあるラウンジに行った。其処に居たのがお前の母…夜恵じゃった。」
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