なんでも屋 神…最終幕
お袋が水商売をしていたと聞いても何の感情も沸かないが、あの性格で客商売をしていたのには正直驚いた。



「やくざ者と威勢の良い女が引かれ合うには、それ程時間はかからなかった。夜恵の可愛がっていた後輩が、今[沙夜]をやらせているあの女じゃ。」



だからあの女はお袋を知っていたのか…。



それなら、初めて[沙夜]を訪れた時のあの態度も頷ける。



「儂にとって青天の霹靂じゃったのが、夜恵が鷹臣の子…神を身ごもったと聞かされた時じゃ。二人で儂の元を訪れ、鷹臣は生まれてくる子の為に足を洗いたいと…親としたら当然の感情かもしれんの。」



俺が未だお袋の腹の中に居た時、そんなやりとりがあったとは…。



だがそんな思いに耽る間もなく、俺の耳は次の言葉を待っていた。
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