なんでも屋 神…最終幕
神崎鷹臣が先にマジェスタに乗り込み、俺もシートに白いレースのカバーが施された、後部座席に身体を乗り込ませた。



残っていた二人の男は、それぞれ運転席と助手席に乗り、車は緩やかに道路へと混じっていく。



「神崎の旦那に息子が居るってのは、初耳でしたね。」



ハンドルを握る長身痩躯な男の隣で、筋肉質な印象を持った男が振り返り、蓄えた葉巻髭を嬉しそうに吊り上げた。



「当然だ。俺だって二十二年ぶりに顔を見たんだからな。マスコミには一切漏れていない…言いたい事は分かるな?」



神崎鷹臣の念押しに笑みで返した葉巻髭の男は、次に俺の顔をじっと見つめてきた。
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