なんでも屋 神…最終幕
心中で蠢く期待感を、片手で振り払った。



俺も表情は一切変えず、神崎から吐かれる言葉をじっと待つ。



待っていた言葉よりも先に姿を現したのは、息の漏れる音。



神崎はまるで相手にもしていないように、嘲りの鼻を鳴らした。



「そんな物なら好きにすれば良い。」



神崎の言葉に、心中で不安感が産声を上げ、不安感から疑心へとバトンが渡された。



間違いなく、今回の件の鍵はあのメモリースティックなはず…。



だから黒沢一樹も、子飼い達を使って必死で探していたんだ。



それを問題にもしていない理由とは…。



もう一度脳内を整理し直し、見落としている点が無いかを確かめる。



さながら、真贋を見極める古物商にでもなった気分だ。
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