なんでも屋 神…最終幕
「…その事は、もう俺の中で決着が付いてる。」



自分でも、声になったのかどうなのか分からなかった。



それ程までに、俺の声は水分を失ったように枯れていた。



「…ほう。ならもっと言ってやろう。朱鷺恵の奴が酒を浴びる程呑むようになったのは、お前が街で悪さをするようになってからだ。そして真美が死に、お前は自分勝手に逃げ出した。あの頃が酒の量はピークだった。」



お袋が…。



言われてみれば、俺が未だ幼かった頃にお袋が呑んでいる記憶はない。



一番古い記憶に有るのは、俺が中学に上がってからだ。



イトさんの助けがあっても、片親だから俺がグレたのだと責任を感じ、気持ちを誤魔化す為に酒を呑むようになったのだろうか。



気丈に振る舞っていたのも、気持ちを誤魔化す為なのか…。



今まで知り得なかった事実が、俺を罪悪感の彼方へと誘おうとする…。
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