なんでも屋 神…最終幕
口内に広がるコーヒー豆の香ばしい香り。



最後の一口は鼻腔を刺激し、思わずもう一杯と言ってしまいそうだった。



「マスター、今月分のツケ代金此処に置くよ。それと、宇佐見さんには前金だけで良いって伝えてくれないかな?碌に仕事もしてないから、それで十分だよ。」



隣では、黄金色に焼けたチーズケーキの、最後の一口を食べようとしている満足そうな一葉。



カウンターの反対側に居たマスターがやってきて、今月中に頼んだ伝票と照らし合わせる。



「…ツケの分にしては、随分多いようだけど。」



立ち上がった俺を見て、一葉は最後の一口を急いで口に放り込んだ。



そんなに慌てなくても、食べ終わる迄待ってるってのに。
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