なんでも屋 神…最終幕
何年ぶりかの楽しい夕飯。



真美もイトさんも居なくなってしまったけど、リビングから笑い声が消える事は無かった。



お袋と一葉が片付けをし始めたのを見て、俺はメモリースティックを二階に取りに行き、二人に気付かれないまま家を出た。



未だ日中の余韻を残す温い風は、一瞬だけ俺の身体に張り付いて後ろへ流れていく。



暗がりを切り裂くマジェスティのヘッドライトは、目的地に近付くに連れてその光力を徐々に弱めていった。



オフィス街の裏通りにマジェスティを停め、窓から燦々と漏れている蛍光灯の光を確認し、備え付けのエレベーターに乗り込む。



定時の時間を大きく過ぎた出版社には、数人程がデスクに向かっているだけだった。
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