なんでも屋 神…最終幕
最奥の窓を背後にして、黒縁眼鏡越しに俺の姿を見つけた佐竹編集長は、ずり落ちた眼鏡を直しながら立ち上がった。



「麻琴が追っていたネタだ。中身を確かめてくれ。」



パーテーションで区切られた、左側の応接室に向かおうとした佐竹編集長は、俺から手渡されたメモリースティックをパソコンにセットした。



パソコンを挟んだ二人の間に流れる、数十秒の沈黙。



見せられている写真の重大さを物語るには、十分すぎる時間だ。



「…ウチの雑誌じゃ手に余るし、何より信憑性に欠けちまう。勿論ウチでも掲載はするが、この写真を存分に活かすなら、俺の知り合いのとこへ持ってった方が良いな。」



初めて見た時からさっきまで、脂で濁ったレンズの奥で死んだ魚の目をしていた男が、編集者としての新鮮さを思い出した瞬間だった。
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