なんでも屋 神…最終幕
第五章
止め処なく流れる千里の涙は、きっとドロップ型のピアスに溜め込んでいた涙達なのだろう。



優香と交わした約束が、千里の壊れそうな心を繋ぎ止め、どれ程の支えとなっていたのかは、泣きじゃくる千里を見れば感じ取る事が出来た。



その一雫の中に込められた、これまでの悩みや揺れ動く心境…言わないままで居れる訳は無いと、千里だって感じていた筈だ。



それでも大きな決断を下さなければならない時、人間は誰しも悩んでしまうもの。



俺に出来る事はしたつもりだ。



あとは、千里が自分の足で立ち上がれるかどうか…。



瞳から零れ落ちる涙が、太陽に照らされてキラリと光り、ドロップ型のピアスが揺れた。
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